寒さも本格的になってまいりました。今年も残すところあとわずかとなりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。すでに今年はインフルエンザ早期流行の兆しをみせ、例年に比べ流行が早まる可能性が高まっているようです。全体としてはまだ低いレベルですが、流行が起きているとみられる地域もあり、流行が早く始まる可能性があることから、ワクチン接種を予定している人は早めに受けてほしいと国立感染症研究所では呼びかけています。また、手洗いや、せきやくしゃみが出たらマスクをするなどして感染を広げない“せきエチケット”の励行のほか、症状が出たらすぐに医療機関を受診するようにしましょう。
さて、今回の話題は「米飯(ご飯)」の話です。米離れが進んでいると言われて久しい昨今ですが、皆様はお米を一日にお茶碗何杯くらい召し上がりますか。中には一日のうち一回も「米版(ご飯)」を食べない人もあるかもしれません。。。
今回は、日本人の主食であるご飯にまつわる研究結果についてのご紹介で、米飯を多く食べる習慣がある女性は、あまり食べない女性に比べて糖尿病になるリスクが高いことが厚労省研究班による日本人対象の大規模調査で明らかになりました。炭水化物を多量に摂取すると発症率が高まることは知られていますが、日本人の米飯と糖尿病発症との関連を大規模に調べたのは今回が初めてです。
調査は、全国8県に住む45〜74歳の健康な男女約計約6万人を対象に、1990年代初めから5年間にわたり追跡し、このうち1103人(男性625人、女性478人)が糖尿病を発症しました。
摂取カロリーや栄養バランスの個人差を調整して、米飯だけの影響を分析した結果、白米だけの米飯を1日あたり3杯(420g)食べる女性は、同1杯強(165g)の女性に比べ、糖尿病を発症する危険性が1.67倍に、4杯(560g)だと1.81倍高かったことがわかりました。また、麦などの雑穀が混ざった米飯を食べている場合の危険性はやや低くなったものの、傾向は変わりませんでした。
男性の場合、米飯の摂取量による明確な差は見られませんでしたが、1日当たり1時間以上の筋肉労働や運動をしていない場合は、女性同様に発症の危険性が高まる傾向がみられました。炭水化物をたくさん食べると糖尿病のリスクが高まるとの報告例は海外でもありますが、今回の研究ではパンや麺類では関連が見られませんでした。
ご飯を多く摂る女性の生活習慣が糖尿病を引き起こしている可能性があることから、今回の研究結果からは、お米が糖尿病発症の原因になっている、とは断定できません。米飯は、食後に血糖値が上がりやすい食品ではありますが、食事は「ご飯」だけではないので、副菜に食物繊維(野菜など)を摂取して血糖値の上昇を抑える工夫も必要です。ご飯を含めた食習慣全体のバランスを良くすることと、運動習慣を心がけることで糖尿病発症リスクを下げることができます。
米飯を中心とした和食献立は、食事全体の脂質割合が低く“脱メタボ向き”であるのに対し、パンやパスタなどは「油脂依存型」の主食と言えることから、ご飯の長所を認識することも重要ですね。ご飯を多めに食べる人の場合も、野菜を積極的にとり食事全体のバランスに配慮し、運動習慣を身につけて“脱メタボ・糖尿病予防”を心がけましょう。