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図1 肥満度と高血圧発生率 |
肥満にともなって糖尿病の発症率が高まるため、日本人の中で糖尿病を有している人の割合は増加し続けています。これに対して、高血圧を有する人の割合はほぼ横ばいです。でも、これは、安心できるのとは正反対の状況です。増えに増えて、頭打ちの状態と言ったほうがよいかもしれません。
どのぐらい高血圧の人が多いかというと、年齢とともに高血圧を有する人の割合は増えるので、40歳代では40%、50歳代では50%、60歳代では60%、70歳代では70%というぐあいです。
高血圧の原因というとすぐに「塩からいもののとりすぎ」を思いうかべますが、そればかりではありません。高血圧も生活習慣病であり、運動不足や肥満も、高血圧の原因になります。
図1は、肥満している人ほど高血圧が多いことを示す、厚生省(現:厚生労働省)のデータをグラフ化したものです。
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図2 運動量別の収縮期高血圧発生率 |
図2は、ある企業の社員における、運動量別の高血圧の発生率を示しています。すでに紹介したように、歳をとるほど高血圧の人は増えてくるので、その影響を取り除くために、この研究では45歳の人だけをしらべました。
糖尿病もそうでしたが、高血圧でもほとんど自覚症状はありません。高血圧で自覚症状がある場合は、非常に血圧が高い場合や、普段以上に急激に血圧が上がった場合ぐらいです。このため、高血圧も放置(ほうち)される傾向があります。
高血圧を放置すると、心臓肥大や脳卒中(脳こうそくや脳出血)などの合併症(がっぺいしょう)を引き起こします。糖尿病同様、生活習慣である高血圧も、自覚症状にとらわれず、定期健康診断などの健診をきちんと受け、その結果に基づいた健康的な食生活や運動習慣を続けることによる予防が不可欠です。
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