久ケ原スイミングクラブ  

上級水泳教師北原道宏先生の「スイミングコラム」

親子関係を良くする言葉がけについて

 親子の意見の対立が大きな事件に発展するというケースがテレビや新聞でよくみられます。親は子のために、子は親のためにと思い合う中でなぜ仲たがいが生じてしまうのでしょうか。親子であるがゆえにストレートな言い合いを生んでしまうのかもしれませんが、親子の関係を良くするような言葉のかけ方ってないのでしょうか。

 私事ですが、昔、息子が小学生低学年のころ、当然、未成熟な年齢なので、さまざまなトラブルを起こすわけですが、私がしつけや教育をしようとした時、私自身が最初から大人の論理から結論ありきで、子供を意見に同意させることだけに一生懸命になっていたように思います。
そして子供が理解や納得ができないと感じたときは口調を強め、イラついたことも時々あったように思います。今思えば、「本心から納得してもらう」という心構えと工夫が不足していました。
 よく、わが子の教育は感情が高ぶるため、冷静に客観的に事を運ぶことができにくいが、他人の子供の教育は客観的に上手にできるといわれます。岡目八目ということでしょうか。
 最近は私も、大人になったわが子に対してさえも、会話をする場合に、「なるほどね」「そうだよね」「そうなんだ」など、まず肯定形で受け止めて話し始めるようにしています。すると次の会話が続いて返ってくるという現象が起きるようになり、以前よりも親子関係が良くなったように思います。親子に限らず、すべての年齢層の方に、同様の肯定的な話し方をしようと思っています。

「ピグマリオン効果」で自己反省
 「なぜできないの、こんなことがわからないの」といった辛らつな言葉がけで相手を発奮させて成長を促すという手段は、大人に対しても子供に対しても成功の確率は低いようです。
 心理学の世界で「ピグマリオン効果」という研究がありますが、その内容は、例えば「教師が、この生徒たちは伸びると信じて授業を行った場合、期待通りに成績が伸び、この生徒たちは伸びないと信じて授業を行った場合、悪い期待通りに成績が思わしくなかった」といったものです。私も過去に思い当たることがあり、以降、相手の能力を決めつけないで伸びる事を信じて指導しようと心に決めた次第です。

ほめても叱っても愛情たっぷりに
 誰でも、相手に自分の意見を認めてもらえると心が前向きになり、否定されると後ろ向きになります。しかし、ほめても叱っても言葉がけの後ろに「愛情たっぷり」の気持ちを込めて会話をすると、たとえ否定形であっても本当に自分のために話をしている事が伝わりやすくなります。
 相手の気持ちを変えたいと思うときに、強制的な手段は効果がないと実感しています。自立心、能動的な思考と創作力を育てるようなアドバイスが大切と思いますが、本人が納得するには時間が必要ということを前提にして、その場で効果を求めないようにしています。会話の結論よりも、会話を楽しむことを優先させています。
 相手と心の距離が離れていると感じるときは、原因について自問自答し、解決の手段を考えて試してみます。「それはだめだよ」で終わるのでなく、笑顔で「こうすると、こういういいこともあるかもね」というような別の手段のアドバイスをいくつか提供するようにしています。読者の皆様に、少しでも参考になることがありましたら幸いです。


平成29年3月吉日
北原道宏

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