久ヶ原スイミングクラブ  

管理栄養士コラム

2016.12.15 毎日の生活の中に運動習慣を

12月に入り、今年も残すところあとわずかになりました。これから年末年始にかけて、忘年会・新年会シーズンですね。1年の頑張りを振り返りながら、楽しく会食することで、英気を養うことができれば最高です。しかし、楽しい気持ちにまかせて、ついつい食べ過ぎ、飲み過ぎてしまうので、気になるのはやっぱり体重増加…でしょうか。減量には、食事量のコントロールももちろん大切なのですが、適切な体重を維持するには、身体活動量の確保が有用であると言われています。今回は運動と糖尿病発症との関連についてご紹介します。

前回のコラムでも少し触れましたが、忙しくてまとまった運動時間が確保できなくても、例えば糖尿病の場合で考えてみると、こまぎれ運動をする(10分×3回の運動)、速足で歩く(時速4.8㎞で歩く)などでも糖尿病発症予防効果があることが明らかにされています。運動する機会はもちろん、歩く機会も限られている方もいらっしゃるかもしれませんが、日常生活の中で“歩く速さ”を意識しながら生活することは、糖尿病発症予防の観点からは重要と考えられます。ウォーキングやジョギングをはじめとした有酸素運動は、疾病予防や健康維持に効果的なことがわかっていても、継続することはなかなか難しいですよね。継続のポイントとしては、毎日の生活の中に歩く場面を確保しておくこと(必ず毎日駅まで10分×2回;往復する、など)だと思いますが、主に外で行う運動(ウォーキング・ジョギングなど)は、どうしても天候にも左右される場合も多いことから、室内でも実施できる運動も併せて行う習慣があるとより理想的です。

たとえばスクワット(屈伸運動)などの筋トレも、まったく運動をしない人に比べると、1週間に60~149分の人で糖尿病発症リスクが25%低下、150分以上(1日30分×5日間以上)の人で34%低下、1週間に60分未満の比較的トレーニング量が少ない人(1日10分×6日程度)でも、糖尿病発症リスクが12%低下したことが米国男性を対象とした追跡調査で明らかにされています。筋トレが糖尿病発症リスクを低減することについて、研究チームでは、人間の体内でブドウ糖をもっとも多く取り込む器官である筋肉がトレーニングにより増加したことと、インスリン感受性の改善(血糖値を下げるホルモンであるインスリンの作用が改善)によって得られる効果であるとしています。さらにこの研究では、筋トレと有酸素運動を組み合わせた場合、糖尿病発症リスクがさらに低下(59%低下)したことも報告しており、筋トレと有酸素運動を組み合わせることがもっとも効果的だとしています。

この研究において、(糖尿病発症予防の観点から)筋トレはウォーキングやジョギングなどの有酸素運動の代替的方法になりうることが示唆されました。忙しくて運動習慣がない方は、まずは室内で簡単にできるスクワット(屈伸運動)を1日10分からはじめてみてはいかがでしょうか。そして、お天気の良い日は歩く習慣を定着させると理想的です。でもまずは、できることから!始めてみましょう。

【参考資料】
Sun Q, Townsend MK, Okereke OI, Franco OH, Hu FB, Grodstein F. Physical activity at midlife in relation to successful survival in women at age 70 years or older. Arch Intern Med. 25;170(2):194-201, 2010.
Grøntved A, Rimm EB, Willett WC, Andersen LB, Hu FB. A prospective study of weight training and risk of type 2 diabetes mellitus in men. Arch Intern Med.24;172(17):1306-12, 2012.

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