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管理栄養士コラム

2018.05.24 骨と栄養・運動のはなし-食生活編-

前回に引き続き骨粗鬆症予防がテーマです。骨粗鬆症の危険因子には、加齢や性(女性)といった変容できないものと、栄養のアンバランスや運動不足といった生活習慣に関わるもので、努力によって改善できるものがあります。今回は、骨粗鬆症予防における望ましい食生活について概説したいと思います。

骨の健康に不可欠な栄養素として有名なのは、カルシウムですね。しかし近年、日本人のカルシウム摂取量は不足傾向にあります。骨粗鬆症予防の観点から、カルシウムは食品から1日に700~800mg摂取することが推奨されています。カルシウムの主な供給源は牛乳・乳製品で、牛乳コップ1杯(200g)でカルシウム220mgを摂取することができます。牛乳・乳製品はカルシウム含有量が多いだけでなく、吸収率が他の食品に比べ高いことが知られていますので、1日コップ1杯の牛乳摂取は骨の健康を守る上では重要と考えられます。

カルシウムの他にも骨を丈夫にするのに重要な栄養素としてビタミンD、ビタミンKが挙げられます。ビタミンDは、カルシウムの吸収を促進して骨を丈夫にするとともに、筋力も高めます。食物からのビタミンD摂取と、紫外線を浴びることにより皮膚でも産生されることから、日光浴(晴れた日15分,曇り30分)は有効と考えられています。ビタミンDは、主に魚類やキノコ類、特に干しシイタケ豊富に含まれています。紫外線にあたるとビタミンDが増えるので、食べる前にシイタケ等を天日で干すとビタミンDがアップしますよ。ビタミンKは、小松菜、ほうれん草、ブロコッリー、キャベツなど、色の濃い葉野菜に多く含まれています。ビタミンKは油に溶ける脂溶性ビタミンで、油と一緒に食べることで吸収率が大幅にアップしますので、油を使った料理が効果的です。また納豆にはビタミンKのほか、カルシウムやたんぱく質も豊富に含まれていますのでおススメ食品のひとつですが、抗凝固薬(ワルファリン)を服用している方は、薬の効果を弱めてしまうことが指摘されているため、主治医の指示に従ってください。

これまで述べてきた栄養素は骨粗鬆症のみならず、私たちの体の調整にとって大切な栄養素です。サプリメントなどによる単一の栄養素の補給にとらわれるのではなく、多種類の食品を基にした栄養バランスの整った食事を心がけることで、必要な栄養量を満たし栄養状態が改善し、全身の免疫力が向上し、骨の健康を守ることができるのではないでしょうか。運動習慣とバランスのとれた食事を心がけること、そしてそれを継続することで健康寿命の延伸につながり、豊かな人生の実現にもつながるものと考えます。

【参考資料】
1) 骨粗鬆症財団. 老人保健法による骨粗鬆症予防マニュアル
2) 財団法人 日本公衆衛生協会. 地域保健におけるエビデンスに基づく骨折・骨粗鬆症予防ガイドライン
3)骨粗鬆症予防のための運動 -骨に刺激が加わる運動を/ e-ヘルスネット
4)厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要

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