久ケ原スイミングクラブ  

管理栄養士コラム

2019.09.30 中学生の低い心肺持久力・筋力と代謝異常リスク

現代人の健康を考えるうえで、「メタボリックシンドローム(メタボ)」は重要なキーワードのひとつとして、多くの人に認知されるようになりました。メタボ予防といえば、オトナ(成人)のイメージがあるかもしれませんが、青少年期でのメタボ傾向も近年深刻化しており、早期発見と生活習慣改善が望まれています。成人の場合、筋力や心肺持久力を含む体力指標と生活習慣病との関連が注目されており、心肺持久力が高いことが生活習慣病予防に重要であることが知られていますが、青少年期は血液検査を含む健康診断を受ける機会が限られているため、これらの体力指標と生活習慣病リスクとの関連は不明でした。今回は、中学生男女を対象に、筋力や心肺持久力と生活習慣病リスクとの関連を検討した最近の研究成果をご紹介します。

この検討では、中学生993名(男子523名、女子470名)の体力テスト結果と血液検査を含む健康診断結果とを併せて解析したところ、心肺持久力(20mシャトルランの成績)と上肢筋力(握力の成績)の両方が低い者は、両方が高い者と比べ、相乗的におよそ4倍代謝異常リスク(生活習慣病リスク)が高いことが明らかになりました。同様に、心肺持久力と下肢筋力(立ち幅跳びの成績)の両方が低い者は、両方が高い者と比べ、およそ3倍代謝異常リスクが高まることが判明しました。しかし、上下肢筋力が低くとも、心肺持久力が中程度以上であれば、代謝異常リスクは高まらないことも判明しました。このことから、心肺持久力と筋力の低い者への積極的な運動励行は、生活習慣病予防の観点からは必須と考えられます。

心肺持久力向上には、低めの運動強度の運動を可能な限り長い時間行うことが必要とされているため、ジョギング・スイミング・サイクリングのような全身を使う有酸素性運動が適していると言われています。なかでもスイミングは、陸上とは異なり、水の抵抗や水圧があるため、運動負荷がかかり筋力向上効果も期待できること、水中では浮力が生じるため、膝や腰などの関節に負担がかかりにくいことが特徴的です。若い世代の方はもちろん、ご高齢の方も含めて、気軽にそして生涯を通じて行える運動であるスイミング、ご家族ご一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。

【参考資料】
Morikawa SY, Fujihara K, Hatta M, Osawa T, Ishizawa M, Yamamoto M, Furukawa K, Ishiguro H, Matsunaga S, Ogawa Y, Shimano H, Sone H. Relationships among cardiorespiratory fitness, muscular fitness, and cardiometabolic risk factors in Japanese adolescents: Niigata screening for and preventing the development of non-communicable disease study-Agano (NICE EVIDENCE Study-Agano) 2. Pediatr Diabetes; 19(4):593-602, 2018.

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