「ついこの前までは本当に手のかからない素直な子だったのに、最近言う事をちっとも聞いてくれない。どう扱ったらいいのかな」という保護者の声がよく聞かれます。児童の心は、およそ小学生低学年、中学年、高学年という区分で大きな変化が生じます。もちろん個人差があります。しかし、その変化は人間の成長にとって必要な変化であり、私たち大人は戸惑うことなくその成長過程の手助けをすることで、子供はよりよく成長できると思います。
① 6~8歳は幼児の延長
自分中心で居られた家庭から、そうでない小学校の集団の中に生活の中心が大きく変わるため、「自分」という概念が発達します。知覚と運動能力が発達し、言葉の種類が多くなります。幼児期と同様、自己中心的でけんか早く、社会性が欠けがちになるので、幼児期同様、自尊心を傷つけない配慮が必要になります。
② 9~10歳は過剰反応
脳神経系が完成に近づき学習意欲が旺盛になり、善悪の観念が発達します。抽象的な考えがまだできにくいので、具体的な例で話してあげると理解が早いです。客観的な観察と説明ができるようになります。時々攻撃的になり、得意げになり、自己批判的になり、家族に対して泣き叫んだりして過剰に反応しがちです。大人との関係が成り立たないと敗北も勝利も受け入れないことがあります。
③ 11~12歳は大人に近い
感情をそのまま表現するのでなく、過去の経験を踏まえた複雑な表現をし、大人に近い情緒的な表現が可能になります。自己の認識が高まるにつれて大人からの独立を好むようになります。集団遊びの中に組織化が見られ、リーダーが存在してきます。
① 真の愛情を持つ
「子供は善悪も含めて一から学習していく」という認識で接すると良いと思います。ほめて育てることも大切といえます。しかし、注意せずほめるばかりでは、ただ甘やかしになるという心配も生じます。
私は基本として、「子供がほめて欲しい時にほめ、注意を受けるかもしれないと思うときにタイミングよく注意する」ことが大切だと思っています。「私のことをよく見ている」という認識が信頼につながると思います。子供に対して真の愛情を持ってあたるという意識を持つと、注意を与えてもほめても的確に子供の心に届くのではないかと思います。
② 説得する
子供がやってはいけないことをやった場合、怒りに任せて大きな声で怒鳴ったり、暴力的にならないことが大切です。怒られるだけでは怖いという感情だけが残り、なぜやってはいけないのかが理解できません。なぜだめかという理由を必ず伝達し、本人が納得することが次の良好な変化につながるのです。必要なことは、愛情を持って心から本人が納得するように話すことです。人は理解できたことを経験値にして成長していきます。
「説得&納得」を重視してお子様と接することをお勧めいたします。