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管理栄養士コラム

2019.02.21 理想的な体重とは

インフルエンザの流行で、今年は小・中学校での学級閉鎖も多かったようですが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。ついこの前、新しい年を迎えた気分でいましたが、分厚いコートに身を包んでいた冬から、季節はあたたかい春へと着実に向かっているようです。これから薄着の季節を迎えるにあたり、年末年始に食べ過ぎてしまったわ、と体重を気にされている方もいるかもしれません。さて、健康を考えるうえで、理想的な体重の目安はいったいどれくらいなのでしょうか。

よく知られている体格指数のひとつに、BMI(Body Mass Index)があります。BMIは、体重と身長の関係から、肥満度を示す体格指数で、BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で算出されます。「理想的なBMIは22」と聞くことが多いかもしれませんが、実は目標とするBMIの範囲は、年齢や持っている病気のリスクによっても異なります。健康な個人または集団を対象として、健康の維持・増進、生活習慣病の予防などを目的として策定された「日本人の食事摂取基準(2015年版)」1)では、目標とするBMI(kg/m2)の範囲は、18~49歳:18.5~24.9、50~69歳:20.0~24.9、70歳以上:21.5~24.9となっています。これを見ておわかりのとおり、目標とするBMIには幅があるということ(22に限定されない)、どの年代もBMI上限は24.9ですが、年齢が上がるとBMI下限は上がる、ということです。つまり70歳を超えたら、やせ過ぎに注意する必要がある、体重が減ってきている場合は、栄養が足りていない可能性が考えられる(もちろん、それ以外の原因も考えられますが)、ということです。

平成29年「国民健康・栄養調査」2)では、女性は20~50歳代で「やせ(BMI<18.5)」の割合が10%を超えており、「やせ」が健康課題のひとつとして認識されています。特に20歳代では21.7%と高率で、若年女性の「やせ」は骨量減少、低出生体重児出産リスク等との関連が示唆されており、女性本人に加え、次世代(児)の健康への影響が懸念されています。一方、高齢者においては、要介護や総死亡リスクが統計学的に有意に高くなるポイントとして示されている、BMI20以下を指標とした「低栄養傾向」にある者は、80歳以上の男女とも約2割を占めており、高齢者では「肥満」とともに「やせ」が健康上の問題として浮上しつつあります。BMIは、体重と身長の関係から肥満度を示す体格指数なので、(体重だけで)言及することはできませんが、おそらく筋肉が落ちている方が多いと思われます。少々脱線しますが、筋肉をつくる上で良質なたんぱく質の摂取は大切ですが、この10年で日本人の食生活におけるたんぱく質摂取量は、男女問わず若年層から高齢層まで幅広い範囲で少なくなっています。このような状態は、高齢者にとっては、低栄養による転倒や骨折などが多くなり、それをきっかけに寝たきりとなるケースが増加する可能性が危惧されますし、若年層・中年層にとっても将来ロコモティブシンドローム(骨や関節、筋肉など運動器の衰えが原因で、「立つ」「歩く」といった移動機能が低下、「要介護になる」リスクの高い状態)となる時期が早まる可能性が懸念されます。

体重に話をもとに戻しますと、30歳以上の場合、高血圧や糖尿病などの既往がある方、またはメタボのリスクを持っている方はBMI22付近を目指すと良いと思いますが、そうでない場合は、太り過ぎ、やせ過ぎともに注意して、前述の年代ごとのBMI範囲(日本人の食事摂取基準:2015年版)を目指すと良いでしょう。健康な身体があるからこそ、働いたり、何かを楽しんだりできる側面は大きいのではないでしょうか。この“当たり前”の原点を見失わずに、やみくもにダイエットに取り組む前に、日々の食事・飲酒・喫煙・運動習慣などの生活習慣を見直してみませんか。

【参考資料】
1)厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
2) 平成29年「国民健康・栄養調査」の結果
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000351576.pdf

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