こんにちは。暑くてジメジメした日が続きますが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。 今回は、管理栄養士歴20年超えのアラフィフの私が、生活の中で日々感じることについて、栄養と健康の観点からエビデンスを交えながら書いていきたいと思います。
私は病院管理栄養士の臨床経験を経て、管理栄養士養成課程の大学教員として、保健医療専門職の人材育成に力を尽くす日々を送っています。自分の都合で(生まれ育った土地に住みたい!)、往復4時間超えの通勤時間をなんとか毎日頑張りながら、思春期世代の子ども1人を子育て中です。この6年間、ほぼ毎日お弁当作りをしながら(夏休みも部活でお弁当持ちでした。。。)、朝晩の家族の食事を作り、時に外食を楽しんだり、中食を利用しながら、家族の食生活をなんとか支えているところです。おかげさまでお仕事も忙しく、帰宅が遅くなると疲れ果ててしまい、何もかも投げ出して寝てしまいたい!!と思うこともしょっちゅうですが(実は、たまにはそんな日もあります)、成長過程の子どもを抱えているので、自分を奮い立たせて食事を作る毎日です。このように体に鞭打って食事の準備をしているなか、先日子どもがお弁当を忘れていったときには、震えるほど腹が立ち、しばらく口もきけないくらい険悪な雰囲気になってしまった私であります。毎日のお食事の準備はほんっとうに大変ですよね。俗にいう時短レシピと言えども、食材を洗って、皮をむいて切って、下処理して…という工程を経れば、自分が思っているよりも時短でもなく、食べた後は洗い物が待っていて、やっぱりお料理って時間と手間がかかるよなぁ。。。と思う毎日です。今の時代は、手軽においしく食べられて栄養も補給できる、優秀なお惣菜やお弁当もたくさん出回っているので、市販の食品も上手に取り入れながら、日々の食生活をできるだけ豊かに、手軽さも含めて楽しむことも大切ですよね。ただ外食、中食が続くと、どうしても塩分や脂質を知らぬ間に摂り過ぎてしまうのが、悩ましいことのひとつではあります。お惣菜やお弁当を選ぶ際は、栄養成分表示を確認して、食塩や糖質、脂質が多いものを控えると、ヘルシーさがグッと上がるので、栄養成分表示をちょっと気にしてみてください。
さて近年、「超加工食品」の過剰摂取は、肥満や心血管疾患(狭心症や心筋梗塞等)、2型糖尿病発症リスクやうつ病などメンタルヘルスの不調と関連がある可能性が、様々な研究によって示唆されています1-2。「超加工食品」とは、日本国内ではまだ正式に定義されていませんが、複数の食材を工業的に配合して製造された、加工の程度が非常に高い食品で、市販の菓子パンや清涼飲料水、ソーセージやハム、スナック菓子がその代表例とされています。一般的に加工の度合いが高くなるほど、食品に使われる砂糖や塩、添加物の量は多くなることから、摂取量が過剰になることで食事の質が低下する可能性があると言われています。 日本人成人2,742人を対象に、8日間の食事記録データを基に超加工食品の摂取量を調査した東京大学の研究グループの報告3によると、年齢が若い人や喫煙者ほど、総エネルギー摂取量に対して超加工食品の占める割合が高く、男性では調理技術が高い人ほど、超加工食品の摂取量が多い一方で、女性では年齢が高く、栄養に関する知識が多く、食の安全性を重視する人ほど、超加工食品の摂取量が少ないことなどが明らかになりました。
超加工食品は私たちの生活の中に溢れていて、手軽に利用しやすいのが利点のひとつだと個人的には考えます。しょっぱいポテトチップスはやっぱり美味しいし、ウィンナーやハムはわが家の忙しい朝の食事やお弁当の脇を固める強力な味方でもありました。これはすべての食べ物に言えることですが、健康やからだに絶対的に“良い”パーフェクトな食べ物も、絶対的に“悪い”食べ物も存在しないので、何かを食べ過ぎたり、まったく食べないのも、心身の健康を考えるうえで、お勧めできないのではないかと考えます。前述の研究結果を踏まえて、超加工食品をすべて控える(食べない)必要はないですが(現実的にまったく口にしない食生活の実践は難しいとも感じます)、偏って多く食べ過ぎないように心がけること、しょっぱすぎるものや甘すぎるものを食べ過ぎてないか、日々の食生活を少しだけ振り返る時間を持つ、食べ過ぎていると感じたなら、食べる量や頻度を減らす努力からはじめれば良いと思います。やっぱり、おいしく食べて健康になるためには、ちょっとだけのめんどくささや、食生活を振り返ったり、ヘルシーな献立を考える時間を持つことが必要なのではないか、というのが、20年以上専門職として食と健康に携わり、育児も見習い修行中の率直な現時点での私の感想です。しかし食べることは、単なる栄養補給だけが目的ではなく、我々の楽しみであり癒しでもあると考えます。窮屈に考え過ぎず、日々の食生活を楽しむことも忘れずに!
参考文献
1. Melissa M Lane, et al. Ultra-processed food exposure and adverse health outcomes: umbrella review of epidemiological meta-analyses. BMJ. 2024;384:e077310.
2. Janett Barbaresko, et al. Dietary Factors and All-Cause Mortality in Individuals With Type 2 Diabetes: A Systematic Review and Meta-analysis of Prospective Observational Studies. Diabetes Care 2023;46(2):469–477.
3. Shinozaki N, et al. The association of highly processed food consumption with food choice values and food literacy in Japanese adults: a nationwide cross-sectional study. Int J Behav Nutr Phys Act2023;20:143.